「工場勤務ってどうなんだろう。給与事情はもちろん、メリットやデメリット。どういう仕事内容なのか、色んなことが知りたい。」
という疑問にお答えします。
パラレルキャリアのRyotaです。以下のような経歴があります。
- 大手菓子メーカーの工場に派遣で半年勤務
- 製薬工場に10年勤務
- オペレーター・資材管理・調剤を経験。主任になる
当記事の内容はこちら
- 工場勤務の各種疑問を解説『仕事内容から残業、給与事情まで』
- 工場で働きたいあなたに覚えて欲しいこと
- これからの時代における工場勤務について
- 普通に働けるホワイトな工場を見つけるコツ
当記事では実際に工場に勤めていた私が工場勤めの良し悪しから未来まで解説します。決して底辺な職場じゃないんですけど、ブラック率が高いのも事実。
あなたが工場勤めでぼろぼろにならないよう、細かいことまで正直にお話します。疑問点があれば当記事のコメント欄に記載ください。お答えします。
どうぞご覧ください。
1.工場勤務の各種疑問を解説『仕事内容から残業、給与事情まで』
工場勤務ってラクなイメージがありますよね。
- 人間関係で悩まない。目の前の作業だけしていれば良い。
- 単純作業の連続。誰でもできそう。
- 毎日同じ出社時間。同じ場所に出社。
あなたも上記のように思ってませんか?半分正解で半分間違いです。
工場は『何を製造しているか』『会社に現場環境を整える意識があるか』の2点で働きやすさが変わります。働きづらい工場を選ぶと定年はおろか3年働くこともできません。体力的に持たないためです。
実際に工場勤務をした経験から各種疑問にお答えしていきます。
① 仕事内容
何を製造するかで変わりますが、主に以下の仕事内容になります。
- ライン工『機械オペレーター』
- 資材管理『倉庫番』
- 製品製造『内容物や製品加工』
- 事務作業『棚卸しや資材発注、製造管理など』
車製造の例
ロボットが溶接。そのロボットのオペレートや保守点検。一部作業を人力で行うことになります。
菓子や医薬品製造の例『軽作業』
内容物を手順どおりに機械に投入。内容物を容器に入れる機械を通り、製品がコンベア上に流れます。その製品にラベルを貼ったり・10本ケース・50本カートンに入れる機械を通って製品化されます。
内容物の投入や各製品の状態を確認、資材を補充するのが人の作業です。
ポテチで有名な湖池屋さんの動画が参考になります。
それぞれ掘り下げて解説します。
ライン工『機械のオペレーター』
- ラインに流れてくる製品の状態をチェックする
- 機械の保守・点検
- 人の手が必要な工程の作業を行う
工場のメイン仕事です。
医薬品製造ならクリーンな現場。旋盤だと油が多く危険が多い現場です。何を作るかで状況が違います。
ライン工はラインを止めてはいけません。しかし不良品を流してはいけませんので、ラインを止めなければならない場面もあります。判断力や報告・相談・連絡が求められる現場。心身ともに疲労します。
コミュニケーション能力は他の職場同様レベルで必要です。
資材管理『倉庫番』
- 製造に必要な資材・原材料を受取る(搬入する)
- 依頼があった必要数を出庫する
- 資材・原材料に問題がないか管理・点検する
- 資材・原材料を整理整頓する
限られた時間内に限られたスペースに資材・原材料を保管しなければなりません。各種タスク管理能力が求められます。
ほぼ倉庫内で作業をするため人間関係はほとんどありません。倉庫内の温度管理がしっかりされているのなら、働きやすい仕事内容です。
フォークリフト免許は必須。狭いスペースにたくさんのものを運ぶため『製品破損』に注意が必要です。
荷受作業も任されることがあります。
Amazonの荷物を受け取るのと同じなのですが、会社規模なので物量が多く責任も発生します。段取りが求められるため、指示通りにしか動けない人は不向きです。
詳しくは以下の記事で解説しています。
-
荷受作業とは『仕事内容・注意点・向き不向きを倉庫作業員が解説』
続きを見る
製品製造『内容物作成から製品加工まで』
ライン工と似ていますが『ラインではない点』が違います。
ライン工の場合は自動的に製品がどんどん流れていきます。しかし、製品製造であれば1つの製品を作成する形です。職人さんをイメージすれば分かりやすいですね。
工場によって作るものは全く違います。(製品の内容物作成や『民芸品・工芸品の作成』など)
半導体工場や医薬品製造工場だと『クリーンルーム作業』になる可能性があります。他の工場に比べて規則が厳しく空調管理がしっかいしているメリットがあります。
事務作業『棚卸しや資材発注、製造管理など』
- どの製品をいつまでにどれだけ作るかをまとめる
- 資材・残材料を発注する
- 現在の在庫数を把握するため棚卸しをする
工場事務所の仕事です。
主に管理職が携わるのですが、最初から工場事務メインで勤めることも可。通常の事務職と違い電話・顧客応対が少ない特徴があります。
製造管理は営業とのコミュニケーションが必要。社内全体を把握できる能力が求められます。
▼工場の代表的な仕事の種類一覧はこちら▼
-
工場の仕事の種類って?代表的な5つの部門を実体験を元に紹介!
続きを見る
② メリット・デメリット
工場は閉鎖された空間です。
それがメリットでもありデメリットでもあります。
メリット:時間が分かりやすい・同じ仕事を継続できる
- 勤務時間がハッキリしている
- 1度仕事を覚えてしまえば数年間は同じ作業の連続になる
- 決まった人とのみコミュニケーションを取れば良い
工場勤務は『安定しない』と思われていますが、主に派遣・アルバイト・期間工のイメージによるものです。
正社員雇用されれば最低限の保証があります。仕事内容に変化がないため安定した生活を送れます。
スケジュールで勤務時間が変わりやすい営業職に比べて時間管理・習慣付けがしやすいです。
デメリット:人間関係が悪化しやすい・仕事内容がきつい
- 常に同じ人と関わるため、人間関係が悪化しやすい
- 逃げ場がない(常に仕事をし続けないといけない)
- 管理職にならないと40歳過ぎても現場仕事
工場勤務は人間関係がラクと思われています。実際は閉鎖された空間なので逃げ場がなく、日光を浴びれないので『何となく暗い雰囲気』が漂います。
コミュニケーション能力のない人ほど人間関係で苦しむでしょう。
仕事内容は工場によるところが大きく『工場は大変』とは言えません。しかし、基本的に立ち仕事なので事務職・営業職に比べれば体力的にきついです。交代制・夜勤があると翌日に疲れが残るようになります。
出世して管理職にならないと定年まで現場仕事になります。どのようにして出世コースに乗るかを考えて行動するかがポイント。
③ 残業時間・給与について
どちらも工場によって変わります。1つ言いたいのは『ホワイトな工場もある』ということ。
- 月給25万以上
- 賞与3.0ヶ月
- 年間休日126日
- 残業月に20時間
上記のとおり。
大規模な工場なら役職もたくさんあります。役職手当が支給されるなら将来的な年収アップも可能。
一方で『誰もができる単純作業』の工場は低賃金で残業時間の多い傾向にあります。
私の勤めていた工場は以下のような待遇でした。
- 入社直後で基本給17万5千円。
- 賞与3.0ヶ月
- 年間休日126日
- 残業 月20~80時間(繁忙期のみ80時間。それ以外は20~30時間)
25歳時点で年収400万円ほど。交代制導入より残業時間が減り、33歳で年収370万円でした。
ただし二交代制など『シフト制』には注意が必要です。
- 通しの残業がある
- 1日単位でシフトが切り替わる可能性がある
- 昼休憩が出社後すぐの時がある
人員不足だと上記のようになります。1年ほどで疲れきってしまい。
▼二交代制について詳しくはこちら▼
-
二交代制のシフト時間・メリットや注意点を工場10年経験者が解説
続きを見る
2.工場で働きたいあなたに覚えて欲しいこと
工場勤めは向き不向きの問題です。一流企業でバリバリ働くのが向いていなくて工場勤務が快適なケースは良くあります。
これから工場に勤めたいとお考えなら、以下の点を覚えておくと良いですよ。
- 資格があると頼りにされやすい
- 学歴ではなく実力主義
- ブラックな工場は即日辞めるべき
① 資格があると頼りにされやすい
工場に有利な資格を取得しましょう。
工場にとって『この資格を持った人が社内にいる』だけでもメリット。あなたにしかできない仕事があれば出世もしやすいです。
ほぼ確実に役立つのはフォークリフト免許。5日で簡単取得できますし、工場によっては手当が出ます。元も取りやすくオススメ。
② 学歴ではなく実力主義
工場は仕事のできる人が出世します。
高学歴でも現場で役に立たないなら使われません。その点はシビアです。
保守点検作業は手先の器用さや性格が成果につながります。普段と違う音がしている・悪い場所はここだと思う(勘の良さ)という感覚的なものが求められており、学では判断できない部分だからです。
悪い例えですが『中卒』『高卒』でも工場長が狙えます。大きな工場の場合『管理職候補採用』がありますので、管理職候補採用のない工場を狙いましょう。
大卒で工場勤務もあり
高学歴で工場に勤めた場合、幹部候補生が狙えます。最終的に管理職になれるため通常の工場作業員に比べて2割ほど年収が上がります。
製造から別部署へ移動してキャリアアップする戦略も取れます。私も大卒ながら工場で様々な仕事を覚えて出世に生かしました。
-
大卒で工場勤務するのがNGじゃない3つの理由『経験談から解説』
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③ ブラックな工場は即日辞めるべき
工場はホワイト・ブラックが極端です。
以下のような工場は1日でも早く辞めましょう。我慢しても状況が改善する可能性が限りなく低いためです。
- タイムカードがない
- 残業が月に60時間以上ある
- 現場が30℃以上
- 怒号が飛び交っている
- 基本給が15万円以下(年収300万円以下)
大企業の工場だから待遇が良いわけではありません。設備が良くても人間関係が悪い可能性があるからです。
求人で見抜けない部分はアドバイザーに調査を依頼することをオススメします。
④ 未経験でも勤められる
未経験の業界からでも『マニュアル化』されているので挑戦しやすいです。
- 休日数が多い
- 勤務時間が不規則ではない(工場にもよります)
- 作業に集中できる
上記メリットがあります。
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未経験から工場に転職した私が伝えたい4つのメリット『休日数増加』
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3.これからの時代における工場勤務について
工場で定年まで働こうと思った場合、以下の2点が問題になります。
- 少子化による労働者不足
- ロボット化・AIによる人員削減
利益のある工場はロボット化などの設備投資で人員削減をします。少数精鋭に舵を切るため、優秀な人材でないと入社できません。
小さな工場は効率化ができないため、人力で補おうとします。しかし少子化により労働者が減少。人員不足倒産が増えています。
東京商工リサーチによると、2018年度の人手不足関連倒産は400件で、前年度比28.6%の増加であった。中でも筆者が注目しているのは、「後継者難」があまり増えずに「求人難」「人件費高騰」「従業員退職」が著しく増えていることである。
ブラック工場が潰れるのは嬉しいお話です。
しかし、今までのように「工場は同じ作業をするだけでラク。」と思っているとリストラ対象になる恐れがあります。
これからの時代、工場全体を広い目で見ることが求められます。
個人で仕事を覚える努力が必要『ビジネススキル向上』
工場は常に作業があります。営業職のように空いた時間でビジネススキルをアップすることができません。
プライベートの時間を使ってビジネススキルを上げることが必要です。
と言っても難しいことはいりません。
- 何となく仕事を覚えづらいのなら『個人でマニュアルを作る』。
- 保守点検時にメーカーとのやり取りが発生するなら電話応対について学ぶ。
この意識の違いが5年・10年後のあなたのポジションを作ります。現場仕事以外のスキル上がれば工場事務所に抜擢される可能性が出てきます。工場事務所は管理職的立場。将来的に工場長になることも可能です。
メモの取り方を覚える。todoリストを作る。こんなことから始めましょう。
時間の自由になる工場に勤めてWワークする
出世を捨てて工場の『安定』だけを得ます。
ホワイトな工場は時間が安定しています。常に定時なら1日に2時間ほど個人の時間が取れますよね。その時間を使って個人でお金を稼ぎましょう。
具体的には軽作業+クリーンな環境の工場に勤めて体力の消耗を防ぎます。年収は低くても構いません。
自由になる時間で『クラウドソーシング』『ブログ・メディア運営』などを駆使して年収アップを狙います。なお、当記事を書いている私も10年間実践してきた働き方になります。
地方の小さな工場でも豊かに暮らしたいあなたにオススメです。
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工場のロボット化について
ロボット化に失敗する工場も出てきます。
- 人員が削減できなかった
- 運用に失敗して生産ができなくなった
- 保守・点検に使う予算がない
経営陣が現場に来ない場合は要注意。形だけロボット化して、全てを現場に責任転嫁する可能性があります。
しかも成功をアピールしたいので人員は削減します。
こうなると現場は大変になりますよね。秒単位で仕事をすることになります。疲労と不満で退職ラッシュの原因にもなりますね。
ロボット化した会社に入るなら2年以上運用した後がおすすめですよ。
▼工場のロボット化失敗についてさらに詳しく知りたいなら▼
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ロボット化に失敗した工場の事例『ブラック化が進んだ流れを紹介』
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4.普通に働けるホワイトな工場を見つけるコツ
『働きやすい現場のホワイトな工場』を見抜ければ長く働くことができます。
社員の体調管理・働きやすい現場を整える意識があるため、体力的不安のある方も働けます。
働きやすいホワイトな工場を見抜くコツは以下の2つです。
- 現場の環境・設備・清潔感を見る
- 軽作業+定時勤務
求人では見抜けない部分を判断するために工場に強い転職エージェントを活用します。
コツ① 現場の環境・設備・清潔感を見る
- 工場内は暑くもないし寒くもないか
- 20年前の機械を使っていないか
- 5S活動はあるか、作業員の更衣は汚れていないか
工場見学時に判断します。
古い機械をいつまでも使っていると効率が悪いだけでなく維持費も高くなります。いつか新機械を導入しなければなりませんが、工場の機械は数千万~億単位の出費。役員が自分たちの世代だけ逃げ切る考えだと10年後に経営不振になる可能性が高いです。
社員のモチベーションは製品の質につながります。空調設備が整っているだけでも社員は生き生き働けます。イライラしないので人間関係も良くなりますね。
工場は清潔であるべきです。汚れるものを作っている工場でも、モノの保管場所・人が通る場所にモノを置かないなどの取組みは可能。5Sの意識がない工場は現場が管理されていない恐れがあります。
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暑い工場を辞めたいあなたへ。熱中症になった私が伝えたい3つのこと
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汚い工場は事故やミスの危険も上がる
汚い工場はリスクが高いです。
- 事故・ミスにつながる
- 異物混入による製品回収
- クレームが増える
あなたにデメリットがあるのはもちろん、会社としても危険な状態。食品工場で異物混入・製品回収があれば大損害ですからね。
キレイな工場でも虫がいればアウト。見た目だけで判断しないようにしましょう。
▼汚い工場と清潔な工場についてはこちら▼
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汚い工場と清潔な工場の違い『それぞれに勤めた作業員が解説』
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コツ② 軽作業+定時勤務
体力の消耗を抑えます。
軽作業とは『軽い仕事』ではありません。20kg以上のものを運ぶこともあります。しかし、メチャクチャ体力の必要な仕事ではなくなります。
- 検査
- ピッキング
- 倉庫作業
など、比較的体力の必要ない業務も軽作業に含まれます。取りあえず軽作業の工場を探せば『キツ過ぎる不安』はなくなります。
定時勤務のできる工場は労働力が足りています。
工場は労働力さえ確保できていれば仕事がラクになります。分担できるためです。有給も取得できますし、定時なら先ほどお話したWワークも可能。
一方で残業ありきの工場は労働力が足りていません。誰かが休んだ・退職した時点で残業が長くなる危険があります。
コツ③ 求人から工場の実態を見抜く
求人の時点で『残業時間が確定されていない』『勤務時間に注意書きがある』のなら注意が必要です。
食品、医薬品工場かそれ以外の工場かによっても働きやすさが変わってきます。
特に未経験から工場に勤める場合は、
「工場って人間関係もラクだし良さそう…。」
とメリットばかり目を向けがちです。以下の記事で工場の求人の選び方を学びましょう。
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【経験者が解説】工場の求人の選び方4つ『簡単チェックで実態調査』
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工場に強い転職エージェント・サービスについて
軽作業・定時・現場の環境が良い工場を探す方法として転職エージェントを使います。
何度もお話している通り、ホワイトな工場を見抜くには求人では分からない要素が必要です。工場見学で見抜くのはもちろん、転職エージェントのアドバイザーから情報を集めることが大切。
工場に強い転職エージェントは製造特化とは限りません。アドバイザーの質が高く、求人掲載に条件のある転職エージェントを選ぶことで『ブラック工場を除外』できます。
以下の記事の3社のうちから選べば間違いありません。
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工場に強い転職エージェント3選『現場の労働環境を相談すべき』
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まとめ:キャリアの1つとして上手に工場を使いましょう
以下まとめです。
- 工場勤務の仕事内容や待遇・厳しさは工場によって変わる
- メリット:時間が分かりやすい・同じ仕事を継続できる
- デメリット:人間関係が悪化しやすい・仕事内容がきつい
- 工場は実力主義。学歴が関係なく、事前に資格を取ると頼られやすい
- 人員不足と機械化が進むため、工場を利用した働き方をする
- 現場環境が良い・定時・軽作業の工場に勤める
工場に向いているのは真面目でコツコツと作業に取り組むことができる。最低限のコミュニケーションが取れる人です。
工場に長く勤めたいのなら管理職になることも考えつつ、体力的に無理なく働ける工場を探すことが必要です。あなたも当記事の情報を使って早速工場勤務を考えてみましょう。
以上、「【工場勤務の実態】給与・メリット・仕事内容・きつさ・転職情報解説」という記事でした。