「製薬会社の工場・製薬工ってキレイだし安定しているんじゃないのかな?将来の伸びを考えて仕事を選びたいから、製薬会社の実情を教えて欲しい。」
という疑問にお答えします。
パラレルワーカーのRyotaです。製薬会社の工場に10年ほど勤めてきました。
結論から言うと製薬会社の工場は安定していません。それどころか全体的に下がってきている業界です。
当記事の内容はこちら
- 製薬会社の工場・製薬工が安定しているのは間違いな理由
- 小さな製薬会社のこれからについて『未来は暗い』
- 安定している製薬会社に勤める方法
医薬品工場に求められる設備や管理も厳しくなっています。ついていけない会社は倒産するしかない状況ですね。
そういう具体的なこともお話していきます。
仕事と安定に関連する記事はこちら
1.製薬会社の工場・製薬工が安定しているのは間違いな理由
- ドラッグストアが大きくなりすぎて供給が追いつかない
- ジェネリック医薬品の需要が高い
- 製造現場の設備や管理の水準が上がっている
上記3つですね。
私が勤めていた会社もこの3点の問題で利益率が低下。仕事量は増えているのに人を増やせない状況になりました。社員の負担が大きくなりすぎて退職ラッシュが起きました。
製薬会社は決して『公務員みたいに安定している会社』じゃありません。
理由① ドラッグストアが大きくなりすぎて供給が追いつかない
ドラッグストアの数が増えすぎています。
わが国においてドラッグストアは、2013年には全国に店舗数およそ1万7,000店、売上規模6兆円を示すに至っている。
※2017年には大手だけで店舗数が1万8,000店になっています。
店舗数が増えれば医薬品を供給する数が増えます。小さな製薬会社では供給に対して製造設備が対応できていません。
- 残業
- 交代制の導入
- 土日も稼動
という『機械の稼働時間を増やす』で対応するしかありません。その結果、製薬会社の工場がブラック化します。
理由② ジェネリック医薬品の需要が高い
ジェネリック医薬品の方が安いので需要が高まってます。
あなたも『半額以下のジェネリック医薬品がありますけど、こちらにします?』と言われた経験がありませんか?同じ効き目で安いならジェネリック医薬品を使いますよね。
他社には無い新しい薬を開発しないとジェネリック医薬品に負けて売上が低下します。
健康ドリンクの場合、今までは『タウリン』など有効成分の含有量を増やし続けるだけで競い合っていました。最初はタウリン1,000mg配合だったのに3,000mg配合+アミノ酸入りになりましたからね。
でも、最近は『疲労の回復+予防』になりました。予防ってすごいですよね。
参考 アリナミンV
エスカップNEXTは『気持ちの疲れにも効く』と言い切っています。
参考 エスカップNEXT
こんな時代で名前の知られていないタウリン1,000mgの健康ドリンクを販売しても売れません。価格の安さで勝負するしかないんです。
薄利多売で勝負してしまうと製造数量が増えます。ますます製薬会社の工場はブラック化します。
理由③ 製造現場の設備や管理の水準が上がっている
医薬品に求められる品質が上がっています。
『目視検査でOKだった項目に対して機械化が必要』というイメージですね。一次更衣と二次更衣の区分けもはっきりさせないといけません。
小さい工場にありがちな『増設を繰り返した状態』だと製造と物流の区分けがあいまいです。
例えば製品を製造する場所にトイレがあってはいけません。虫も入ってくるなど衛生的に不安です。古い工場では製造現場の横にトイレがあります。
医薬品の薄利多売により工場がブラック化すると製品の質が落ちます。医薬品は体調が悪い人が使用するものなので厳しい品質基準が定められています。それを守れないと薬務課からの指摘を受けて製造方法や管理方法が変わります。
より社員の負担が増えるため『現場のブラック化が進むのに作業が増えるので製造数は落ちる』という状況になります。
2.小さな製薬会社のこれからについて『未来は暗い』
私は社員数50名ほどの小さな製薬会社に勤めてきました。
その経験から小さい製薬会社のこれからが厳しい理由をお話します。
大手ドラッグストアでの販売が終わると大打撃
小さなドラッグストアがどんどん潰れており、大手ドラッグストアが数を増やしています。そのため、主力製品を販売している大手ドラッグストア1社で会社の売上の半分を頼る状態になります。
売上を1社に頼っている状態だとリスクがあります。他社の製品と競合されてしまうと売上が激減するからです。
ポイント
私が働いていた製薬会社でも売上のほとんどを大手ドラックストアに頼っている状況で問題化していました。
営業さんが新しい販売ルートを確保すべく努力しておりましたが、売る製品がないので新規開拓できません。5年間努力しても成果はゼロでした。
工場の規模を大きくしないと製造数量が確保できない
大手ドラッグストアは小さな製薬会社に不安を持っています。
某大手ドラッグストア
君の工場はラインが1つしかないけど壊れても大丈夫なの?今後も店舗数を増やしていくけどちゃんと供給できるの?
製造数量が確保できない状況が続くと別の会社の商品と競合されます。そのうち販売数が他社と半分ずつにされるので売上が半減します。
10年以内に工場の規模を拡大できなければ倒産する危機もあるでしょう。
3.安定している製薬会社に勤める方法
研究・開発意欲があるかどうか。
設備が整っているか。(工場が最新かどうか。)
この2点ですね。
製薬会社のコネを使って伸びている製薬他社の査察をしました。(三重・奈良の会社です)
その経験からお話します。
安定している製薬会社←研究・開発を進めている会社
製薬会社も他社同様に新製品を出さないと売上が伸びません。他社には無い自社だけの効能が見つかれば小さな製薬会社でも売上が安定します。
- 定期的に新製品を出しているかどうか
- 開発・企画の部署はあるか
- 開発・企画の部署に人員を募集しているか
この3点を調べましょう。
新製品に関しては会社のサイトで分かります。開発・企画の部署に関しては求人を見るか転職エージェントを利用してアドバイザーに確認するのが良いです。
開発・企画にコストをかけていれば将来的な安定が見込めます。
既に設備が整っている工場があるかどうか
工場の設備・構造が最新なら製造数量が安定します。
少ない労働力でもたくさんの製造数量を確保できるので『ブラック化しづらい』のも嬉しいですね。工場見学で以下の点を確認しましょう。
- 更衣や手洗いの徹底
- 機械の新しさ(ほこりがついていないかなど)
- 製造現場の位置(工場の奥にあるべき)
安定している製薬会社は離職率が低い
売上が安定している製薬会社は働きやすく給料が高いです。大手ドラッグストアが店舗数を増やしているので売上が勝手に伸びます。供給できるのなら大きなメリットです。
クリーンで働きやすければ人が辞めません。離職率の低い製薬会社・製薬工場に入社すれば安定を手にすることができます。
離職率の低い求人を扱っている転職エージェントがJAICです。
20代特化という欠点はあるものの、全部の求人先を査察して離職率の高い会社の求人を除外してます。あなたが20代ならとりあえずJAICを使うべき。
詳しくは『20代の転職エージェントは『JAIC』だけで良い【理由を解説】』という記事でご紹介しています。
-
20代の転職エージェントは『JAIC』だけで良い【理由を解説】
続きを見る
まとめ:製薬会社だから安定しているわけじゃありません
父親世代の話を信じるんじゃなくて、実情を調べてどの業界に入るか判断しましょう。製薬会社だから安定しているわけじゃありません。
お菓子メーカーとかも『SNS発信の情報で大打撃を受けるリスク』がありますよね。
リスクや将来に備えた対策をしている会社を選ぶことが『安定』の近道です。
以上、「製薬会社の工場・製薬工が安定しているのは間違い『10年勤めた経験から実情を語る』」という記事でした。