「工場のライン工ってどういう仕事なんだろう。簡単そうに思えるし、人間関係もなさそう。あんまり仕事好きじゃないからチャレンジしようかなーと思ってるんだけど、実際に働いていた人の話を聞きたい。」
という疑問にお答えします。
パラレルキャリアのRyotaです。10年ほど製薬工場のラインオペレーターヘルプと資材管理の仕事で工場勤務してきました。最終的に主任になっています。
当記事の内容はこちら
- ライン工とは『10年間勤めた私が現場でしか分からないことを紹介』
- あなたが思っていたホワイトなライン工の仕事を見つける方法
実際に長年ライン工をしていた私なのでお伝えできることがあります。求人では見えてこないことや、ライン工で働くメリットもお話します。
あなたに工場勤めの実情を知ってもらうために書きました。決して工場がブラックなわけではなく、向き不向きを見定めて入社して欲しいと思います。
どうぞご覧ください。
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1.ライン工とは『10年間勤めた私が現場でしか分からないことを紹介』
以下の9つがライン工の特徴です。
- コミュニケーション能力が必要
- 気軽にトイレに行けない
- マニュアルに未記載の作業内容が多い
- シフト制の場合、1日単位で切り替わる可能性がある
- 作業を円滑に進める点でやりがいがある
- 力がなくても勤められる
- 自分で学ばないとビジネススキルが身に付かない
- 現場と事務所の対立がある
- 有給を気軽に取れない
なお、給与や残業時間は求人と工場見学で判断できます。長く働かないと見抜けない部分をお伝えしますので、今後の将来設計にお役立てください。
ライン工の仕事内容について
製薬工場の場合は以下の通りです。
内容物の作成 → 内容物を容器に詰める → 容器に製品ラベルを貼る → 箱に詰める → ダンボールに詰める → 倉庫へ移動
製品作成の場合は内容物作成が製品作成になります。
(各作業は機械がおこないます。オペレーターは資材の補充・ロットや製品の形の確認、機械動作チェックをします。)
① コミュニケーション能力が必要
ライン工も報連相が必須。些細な報告ミスが数千、数万単位の廃棄につながります。
ライン現場は騒音があります。作業時は会話ができません。人間関係を円滑にするためのコミュニケーションが取れないため、積極的にコミュニケーションを取れない人は現場で浮いてきます。
コミュニケーションが取れない作業員あるある
- 報告が遅れる
- ミスを隠す
- 忙しい時に誰も助けてくれない
上記の通り。
挨拶をする、笑顔を見せるとか、社会人として当たり前のコミュニケーション能力は必須です。
工場ってご想像の通り『ちょっとおかしい人』もいます。私の働いていた工場ではお尻がぷりぷりで、常に機械の角でお尻の弾力を試していた男性がいました。こういう方はいじめられやすいです。
工場は閉鎖された空間です。噂は一瞬で広まりますし、嫌われたら終わりです。
ライン工だから「人間関係ないだろう」は危険な考え方。
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② 気軽にトイレに行けない
基本的に作業現場から動けません。製品が自動で流れてくるためです。
作業員のトイレは機械停止する理由にはなりません。我慢することが多いですね…。
腹痛、下痢は本気で悩みます。頻繁にトイレに行くようなら会社を休むくらいの決意が必要。仕事に集中できずミスにもつながります。真面目に『オムツはこうかな』って言う社員もいました。
③ マニュアルに未記載の作業内容が多い
ライン工は誰でも仕事ができるよう作業内容はマニュアル化されています。しかし、マニュアル化できないほど『職人的な作業』が求められます。
- 雨の日はダンボールが湿って重くなるので、機械に少量しか乗せない
- 「カンっ」という音がしたらこの部品を少し回す
- 内容物の色がいつもより薄い ← どこかで水が加わっている恐れ
言葉や写真で説明できないことって多いんですよ。マニュアル化しても分からないですよね。
最新設備でも使うのは『人』です。小さな変化も見逃さず発見しなければなりません。マニュアルだけじゃなくて経験の積み重ねで得るものです。
ここでも問題なのが人間関係。あなたに教育してくれる人に問題があると仕事が覚えられません。ラインはうるさいんで『大声で教える』感じになります。
些細なことでも怒鳴られた印象になりますから、気の弱い人は疲れちゃうかも…。
④ シフト制の場合、1日単位で切り替わる可能性がある
遅番からの早番出社があります。ほぼ寝られません。
人員不足の工場は残業でラインを稼動させます。1人休みが出たら誰かが余分に8時間の労働をすることになりますよね。
早番からの残業。そして早番出社。もあり得ます。
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⑤ 作業を円滑に進める点でやりがいがある
ライン工は単純作業でやりがいがない!と言われますが、そんなことはありません。
- 短時間で効率よく作業を進める
- オリジナリティを加えて作業をラクにする
- ミスが出ないよう取組みを考える
考えることは山ほどあります。それが認められて出世すると嬉しいですよ。
私の場合はWEB系スキルを持っているため、写真撮影やポップ作りの雑用もこなしました。事務所の人から仕事を頼まれるのも嬉しかったです。
⑥ 力がなくても勤められる
工場=筋肉質じゃないとダメ!でもありません。仕事内容次第です。
重量物の運搬は労働基準法で定められています。継続して重いものを運搬する場合、労働者の体重のおよそ40%以下と制限されています。
50kgなら20kgまで。体重50kgの私が20kgの砂糖を投入していました。大変ですけど不可能じゃないです。どちらかと言えば『スタミナ』が重要ですね。
よっぽどガリガリじゃない限り、力がなくても勤まります。最初の1ヶ月くらいは筋肉痛で悩みますが、それ以降は平気になります。体力も付いてきますよ。
⑦ 自分で学ばないとビジネススキルが身に付かない
目の前の仕事しか覚えられません。
当たり前のビジネススキルが何年経っても育たないんですよ。具体的には以下の通り。
- 電話応対
- パソコン作業
- タスク管理
- 発注、交渉
このスキルがないといつまで経っても管理職になれません。個人でビジネススキルを育てる必要があります。
突然工場事務所の仕事に抜擢されても、パソコンが使えなかったら終わりですよね。現場も回せるし、イレギュラーが発生したときの対応ができるのなら出世コースです。
個人でセミナーに行ったり、事業を展開するって強みになりますよ。
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⑧ 現場と事務所の対立がある
工場事務所組が現場にこないので理解できない支持が多いです。
- 現場「人数が足りない」 ← 事務所「いや、足りてるよね」
- 現場「長袖30℃はきつい」 ← 事務所「本当に暑いの?」
- 現場「この備品が必要」 ← 事務所「高すぎ。安くする方法を考えて」
現場と事務所が対立すると報連相が遅れます。1番困るのは平社員です。
現場からの叩き上げ社員が事務所に行っても現場のことを忘れちゃうパターンがあります。こればかりは『社風』も影響しますので、工場見学時にチェックするしかないですね。
⑨ 有給を気軽に取れない
有給を取れば誰かが残業になります。現場を困らせたくない気持ちから有給が取れなくなりますね。
これはちょっと特殊な話なんですけど、有給を取ったことで人間関係が悪化して評価が落ちることもあります。
私たちが法律で守られているとは言え、実際は面倒なしがらみって多いです。
このように工場のライン工は『働いてみないと分からないこと』ばかり。しかし、工場が絶対ダメ!な職場でもありません。事実として私は10年間勤めました。最初の頃はそれなりに働きやすかったです。
働きやすいライン工の仕事を見つけるコツもお話していきます。
2.あなたが思っていたホワイトなライン工の仕事を見つける方法
- 作業環境
- 設備の良さ
この2つです。
詳細は以下の記事にまとめてあります。
-
【暴露】工場勤務は楽にできる!帰宅後に自由時間も楽しめる工場の選び方3つがこれだ!
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当記事ではサラっとまとめてご紹介します。
現場の作業環境が良い・設備が整っているかを確認する
現場の環境が悪いと社員がイライラして人間関係も悪化します。
- 空調が整っていて暑くもなく寒くもない
- 防塵・防音対策がされている
- 清潔感がある(5S活動)
特に空調ですね。機械が熱を持つので室温30℃以上のラインって多いんですよ。しかも体毛を嫌うので長袖。室温20℃を維持できる空調があるだけで良いラインだと言えます。
効率化を考えた設備投資しているラインも安心。人手不足が解消されるからです。
人の手で作業するって限界があるんです。ロボットなら休まず24時間働き続けることも可能。人の数を増やすんじゃなくて、最新設備をどんどん導入しているラインに勤めましょう。
それこそ面倒な人間関係も減ります。少ない人でラインを稼動できるので人件費も減りますね。最終的に給与も上がりやすいです。
私が10年間勤められた工場の環境について
- ラインの室温25℃。作業着は長袖。
- ロボットや検査機など最新設備が導入される。
- 安全管理の意識が低い。手を出してはいけない機械の周りにフェンスがない。
良い意味で『規則が緩いライン』でした。
時代と共に規則が厳しくなってきたのですが、それに会社が付いていけてなかったです。仕事量が増えたのに人手不足。徐々にブラック化しました。
最初の頃は毎月40時間以上残業があるにも関わらず生き生き働けましたよ。人間関係も悪くなかったです。
転職アドバイザーに相談。工場見学で見抜く
作業環境と設備意識は求人では見抜けません。まずは転職アドバイザーに実情を聞くのが良いです。
アドバイザーが工場に離職率や『求人記載ではなく、現在の残業時間』を聞いてくれます。求人に掲載されていない情報が分かります。
工場に強いアドバイザーは以下の記事でまとめています。
-
工場に強い転職エージェント3選『現場の労働環境を相談すべき』
続きを見る
必ず工場見学を依頼しましょう。
- 設備はどうか。暑くないか、寒くないか。
- 機械は清潔か。ホコリがたまっていないか。
- 社員の目にクマはできていないか。
- タイムカードはあるか。全員が指定された時間に切っていないか。
- 20年以上前の機械を使っていないか。
上記5点をチェックするだけでもラインの働きやすさが見えてきます。
まとめ:ライン工の現場は過酷です。しかし、良い現場もあります。
色々とネガティブなことをお話しました。でも、良いラインに入れるとメリットたくさんなんですよ。
- 時間が決まっている
- 毎日同じ場所に出社、同じ作業ができる
- 製品に愛着がわく
- 昇給が高い
大企業の工場なんて安定しているし福利厚生も手厚いです。狙う価値がありますよ。まずはアドバイザーと相談しつつ働きやすいラインを探してみましょう。
以上、「ライン工とは『10年間勤めた私が現場でしか分からないことを紹介』」という記事でした。
工場勤務の正直な意見は以下の記事にすべてまとめてあります。
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